決勝(関 桂多 VS 松本貴文)

2004年都道府県選手権熊本大会の決勝は、関桂多(電結親和)対松本貴文(緑黒ジャンク)で行われる。
関は予選ラウンドを4勝2IDの2位通過で、無敗で決勝へと進んできた。松本は予選1回戦でウルザトロンに敗れているが、ここまでの対親和戦績は2戦全勝。
 
一本目、ダイスロールに勝った関が先攻、両者マリガンなし。
その関は1ターン目に《大焼炉》から《電結の働き手》、2ターン目にも《大焼炉》セットから《彩色の宝球》《金属ガエル》と好調な滑り出し。松本も1ターン目《極楽鳥》、2ターン目《ヴィリジアンのシャーマン》で《金属ガエル》を除去と遅れを取らない。
そして関の3ターン目、《彩色の宝球》を通して《物読み》と後続を調達するが、3枚目の土地をプレイ出来ず「やばい」と関が漏らす。
これに対し、松本は《大焼炉》を《酸化》し、《永遠の証人》で《酸化》を回収と攻め手を緩めない。ターンが返って関、待望の《教議会の座席》を引き当て《頭蓋囲い》を展開する。
ところが松本の攻めは衰えない。先ほど回収した《酸化》は温存し、今、引いてきたばかりの《頭蓋の摘出》をプレイ。メインデッキで親和を相手にする場合、一番引きたくないのがこの《頭蓋の摘出》だが、押している松本にとっては後顧の憂いを絶つ絶好のチャンスだ。少考の後、松本が指定したカードは《厳粛な空護り》。
関はライブラリーを差し出し、手札を公開する。が、ライブラリーを調べる松本の顔が次第に赤らんでいく。下記のデッキリストをご覧頂ければ分かると思うが、関のデッキに《厳粛な空護り》は採用されていない。
さらに手札には《大霊堂の信奉者》が2体控えており、「こっち(《大霊堂の信奉者》)を言ってれば良かったぁ」と松本。
対する関は順調に《囁きの大霊堂》を引き込み、1体目の《大霊堂の信奉者》をプレイ。仕方なく松本はこれにスタックし、《酸化》で《頭蓋囲い》を叩き割る。
その後松本は《強要》で2体目の《信奉者》を手札から叩き落すが、関はライブラリートップから3体目の《信奉者》を展開する。場には都合2体の《大霊堂の信奉者》が定着していることになる。
また先の《ヴィリジアンのシャーマン》がこつこつとダメージを与えており、現在のライフは10(関)対16(松本)で親和が押されている。
関のダメージ源は《ちらつき蛾の生息地》と2体の《大霊堂の信奉者》だ。
ここから関が《電結の荒廃者》を引き当てたところで、大きく局面が変化する。勝利を確信した関は4つのアーティファクトを生贄に捧げ《荒廃者》のカウンターを5つにする。
《大霊堂の信奉者》の効果で松本のライフは8へ。さらに《ちらつき蛾の生息地》をクリーチャー化し、《荒廃者》を生贄に捧げてこれに接合する。さらに《信奉者》によって松本のライフは6へ。
最後は6/6飛行の《ちらつき蛾の生息地》が殴り切って終了、の予定だ。しかし、勝ちを焦った関は松本の《極楽鳥》を見落としていた。
他に生き延びる選択肢がない松本は、当然これでチャンプブロック。ちょっとした動揺を隠せない関は、ここでターン終了を告げる。
松本はそのターン終了ステップに《桜族の長老》の能力を起動することを選択した。
生き残るためには、次のターンに勝つしかないからだ。デッキに一枚だけ眠っている《粗野な覚醒》を引き当てるためにも、少しでもライブラリーを圧縮したい。
その後松本は入念にデッキをシャッフルし、関がこれをカットする。ターンが帰って松本、慎重にドロー。
表情から察するに《粗野な覚醒》ではないようだ。一呼吸おいて盤面を目線で追い、ターンを返す。
勝つために関は《ちらつき蛾の生息地》で殴りきるしかないわけで、当然これにてアクティベートアタック。
何もなければ関の勝利であるが、ここで松本のハンドから《酸化》が公開されることになる。
ここ一番で生き延びる手段をトップデックしていたのだ。結局《大霊堂の信奉者》により2点のライフを失って、ライフ差は10(関)対4(松本)。
《爆片破》一発で終了してしまう心細いライフだが、生き延びて松本は自分のターンを迎えることが出来た。
その松本のターン、ここで《火と氷の剣》を引き当てる。その《剣》を《ヴィリジアンのシャーマン》に装備して攻撃、関は《大霊堂の信奉者》でチャンプブロック
ターンが帰って関、《爆片破》を引けず《電結の働き手》を展開して終了。再び《剣》付き《シャーマン》の攻撃はこの《働き手》に阻まれる。
続くターン、ここでも関は《爆片破》を引くことが出来ず、ついに最後のブロッカーである《大霊堂の信奉者》をチャンプブロックにて失ってしまう。
ライフ差は10(関)対3(松本)。そしていよいよ《火と氷の剣》が関の本体に突き刺さる時が来た。
4/4の《ヴィリジアンのシャーマン》と2/1の《永遠の証人》が攻撃して、関のライフは4。続いて《火と氷の剣》がピングして、ライフは2。さらに松本はカードを引いて、《トリスケリオン》を公開して勝負あり。
 
二本目、1マリガンの関は《ちらつき蛾の生息地》3枚と、親和出来そうにない《マイアの処罰者》を抱えて開始する。
その関が1ターン目にプレイした《彩色の宝球》へ、松本は躊躇なく《酸化》をプレイ。残りの手札にはどれほどの除去が隠されているのだろうか。
その後関のプレイする《電結の荒廃者》も《教議会の座席》も、ことごとく《ヴィリジアンのシャーマン》が叩き割る。
思わず関が「無理やろ、これ」と、こぼす。さらに松本は《永遠の証人》で《酸化》を回収し、《秘宝の障壁》で守りを固めて、手札の《帰化》を温存する。
関の場には《ちらつき蛾の生息地》が4枚並んでしまい、やっと引き当てたアーティファクトランドも《ダークスティールの城塞》で色マナが出ない。
加えて《シャーマン》と《永遠の証人》に一方的に殴られており、既に関のライフは一桁に落ち込んでいる。
さらに松本が無駄にデカい《北の樹の木霊》まで展開すると、関は無言でデッキを片付けた。
「(アーティファクト対策がデッキに)20枚入っているので、申し訳ない」
とは、優勝者のコメント。
かくして松本貴文が、初代熊本県選手権のチャンピオンとなった。
 
松本 2 - 0 関


親和
Keita Seki

【Main Deck】
 1 Ornithopter/羽ばたき飛行機械
 4 Disciple of the Vault/大霊堂の信奉者
 4 Arcbound Worker/電結の働き手
 4 Arcbound Ravager/
 4 Frogmite/金属ガエル
 2 Myr Enforcer/マイアの処罰者
 3 Cranial Plating/頭蓋囲い
 1 Scale of Chiss-Goria/チス=ゴリアの鱗
 4 Thoughtcast/物読み
 3 Mana Leak/マナ漏出
 3 Shrapnel Blast/爆片破
 3 Pyrite Spellbomb/黄鉄の呪文爆弾
 4 Chromatic Sphere/彩色の宝球
 1 Talisman of Dominance/威圧のタリスマン
 4 Blinkmoth Nexus/ちらつき蛾の生息地
 3 Glimmervoid/空僻地
 2 Darksteel Citadel/ダークスティールの城塞
 4 Seat of the Synod/教議会の座席
 3 Vault of Whispers/囁きの大霊堂
 3 Great Furnace/大焼炉

【Sideboard】
 3 Furnace Dragon/炉のドラゴン
 3 Pentad Prism/五元のプリズム
 2 Moriok Rigger/モリオックの装具工
 2 Pyroclasm/紅蓮地獄
 2 Shatter/粉砕
 2 Annul/無効
 1 Scale of Chiss-Goria/チス=ゴリアの鱗

緑黒ジャンク
Takafumi Matsumoto

 【Main Deck】
 4 Birds of Paradise/極楽鳥
 4 Sakura-Tribe Elder/桜族の長老
 4 Eternal Witness/永遠の証人
 4 Viridian Shaman/ヴィリジアンのシャーマン
 3 Troll Ascetic/トロールの苦行者
 3 Kodama of the North Tree/北の樹の木霊
 2 Triskerion/トリスケリオン
 4 Oxidize/酸化
 4 Cranial Extraction/頭蓋の摘出
 2 Coercion/強要
 3 Sword of Fire and Ice/火と氷の剣
 1 Rude Awakening/粗野な覚醒
 2 Blinkmoth Nexus/ちらつき蛾の生息地
18 Forest/森
 3 Swamp/沼

【Sideboard】
 4 Relic Barrier/秘宝の障壁
 4 Naturalize/帰化
 3 Plow Under/すき込み
 2 Duplicant/映し身人形
 2 Coercion/強要